ブルー/グリーンデプロイメントは、「ブルー」と「グリーン」と呼ばれる2つの同一の本番環境を運用することで、ダウンタイムとリスクを最小限に抑えることを目的としたデプロイメント戦略です。どの時点でも、これらの環境の1つだけがライブでトラフィックを処理しており、もう一方はアイドル状態になっています。
ブルー/グリーンデプロイメントの仕組み
- 初期設定: 「ブルー」と「グリーン」の2つの同一の本番環境で始めます。現在、ブルー環境がライブでトラフィックを処理しており、グリーン環境はアイドル状態です。
- 新バージョンのデプロイ: アプリケーションの新バージョンがデプロイ可能になったら、アイドル状態のグリーン環境にデプロイします。新バージョンが期待通りに機能していることを確認するために、徹底的なテストを実施します。
- トラフィックのルーティング: 新バージョンの検証が完了したら、ルーターまたはロードバランサーの設定を更新して、すべての受信トラフィックをブルー環境からグリーン環境にリダイレクトします。これで、グリーン環境がライブになり、ブルー環境がアイドル状態になります。
- ロールバック(必要な場合): グリーン環境の新バージョンで問題が検出された場合、ルーターまたはロードバランサーの設定を更新して、トラフィックを以前の安定バージョンが実行されているブルー環境にリダイレクトすることで、迅速にロールバックできます。
- 繰り返し: 次のデプロイメントでは、プロセスが繰り返されますが、ブルーとグリーン環境の役割が入れ替わります。新バージョンはアイドル状態のブルー環境にデプロイされ、テストされた後、トラフィックはグリーン環境からブルー環境にルーティングされます。
ブルー/グリーンデプロイメントの利点
- ダウンタイムの削減: ブルー/グリーンデプロイメントでは、ダウンタイムなしでバージョン間をシームレスに移行できます。ユーザーは、古いバージョンから新しいバージョンにスムーズにリダイレクトされます。
- 迅速なロールバック: 新バージョンで問題が検出された場合、以前の安定バージョンへのロールバックが迅速かつ簡単で、ユーザーへの影響を最小限に抑えることができます。
- ゼロダウンタイムでの更新: 常に1つの環境がトラフィックを処理できる状態にあるため、サービスを中断することなく更新を行うことができます。
- 徹底的なテスト: アイドル環境は、新バージョンがライブになる前に徹底的にテストするための現実的なステージング環境を提供し、未テストの変更をデプロイするリスクを減らします。
- セッション状態の保持: 2つの同一の環境を実行することで、デプロイメントプロセス中にユーザーセッション状態を保持でき、ユーザーにシームレスなエクスペリエンスを提供できます。
考慮事項と課題
- インフラストラクチャコスト: 2つの同一の本番環境を実行するには、追加のインフラストラクチャリソースが必要になるため、コストが増加する可能性があります。
- データの同期: アプリケーションがデータベースに依存している場合、デプロイメントプロセス中にブルーとグリーンの環境間でデータが同期され続けることを確認することが重要です。
- 構成管理: 環境変数、データベース接続、その他の外部依存関係を含め、両方の環境の構成が同一であることを確認します。
- テストと監視: デプロイメントプロセス中に発生する可能性のある問題を迅速に検出して解決するために、適切なテストと監視のメカニズムを整備する必要があります。
結論
ブルー/グリーンデプロイメントは、組織がダウンタイムとリスクを最小限に抑えてアプリケーションの新バージョンをデプロイできるようにする強力なデプロイメント戦略です。2つの同一の本番環境を維持し、それらの間でトラフィックをシームレスにルーティングすることで、ブルー/グリーンデプロイメントはゼロダウンタイムでの更新、迅速なロールバック、徹底的なテストを可能にします。追加のインフラストラクチャリソースと慎重な管理が必要ですが、ブルー/グリーンデプロイメントの利点は、スムーズで信頼性の高いデプロイメントプロセスを求める組織にとって人気の選択肢となっています。