CQRSとは
CQRSは、読み取りと書き込みの操作を別々のモデルに分離するアーキテクチャパターンです。Command Query Responsibility Segregationの略です。このパターンでは、「Command」はシステムの状態を変更する書き込み操作を指し、「Query」はデータを取得するが変更しない読み取り操作を指します。
CQRSの主要な概念
- Commandモデル
- 書き込み操作(Create、Update、Delete)を処理する責務を持ちます。
- データ変更に関するビジネスロジックとドメインルールに焦点を当てます。
- コマンド処理に最適化された複雑な構造を持つ場合があります。
- Queryモデル
- 読み取り操作を処理する責務を持ちます。
- データのクエリと表示に最適化されています。
- 読み取りパフォーマンスを向上させるために、非正規化された構造を持つ場合があります。
- 同期
- CommandモデルとQueryモデルは、様々な同期メカニズムを通じて同期が保たれます。
- 例としては、イベントソーシング、変更データキャプチャ、定期的な同期などがあります。
CQRSのメリット
- 読み取りと書き込みのワークロードを独立にスケーリングできます。
- 特定のユースケース(複雑な書き込み、シンプルな読み取りなど)に合わせてデータモデルを最適化できます。
- 読み取りと書き込みの操作に関する関心事を明確に分離できます。
- イベントソーシングやその他の高度なパターンの実装が容易になります。
CQRSのデメリット
- CommandモデルとQueryモデルの間の同期の必要性により、複雑さが増します。
- 最終的な整合性とデータ同期戦略を慎重に検討する必要があります。
- シンプルなアプリケーションやスケーラビリティ要件が限定的なアプリケーションには適さない場合があります。
CQRSの適用シーン
- 読み取りと書き込みの比率が高く、スケーラビリティ要件が異なるアプリケーションに最適です。
- 読み取りモデルと書き込みモデルが異なる複雑なドメインに適しています。
- 高度なクエリやレポート機能が必要な場合に推奨されます。
CQRSは、スケーラブルで保守性の高いシステムを構築するために、イベントソーシングなどの他のパターンと組み合わせて使用されることがよくあります。特に、読み取りモデルと書き込みモデルのパフォーマンス特性が異なる場合や、複雑なクエリとレポートが必要な場合に有用です。